本プロジェクトのコンセプトは、「歴史の継承と新しい技術・交わりの形成拠点」としました。九州⼯業⼤学のイノベーションをさらに加速させ、新しい価値や技術を⽣み出していくためには、様々な⼈が分野や所属の枠を超えて集まり、新しいアイデアや議論が発展していくような空間と機会を創出することが必要です。そこで、九州⼯業⼤学の歴史をつなぐ旧体育館を、⼤学・企業・地域をつなぐイノベーションハブとして再⽣し、多様な⼈材と新しい技術を育て、発信していく交わりの拠点として計画・デザインしました。
コンセプト・スケッチ(伊東啓太郎)
⻩⾦⽐―旧体育館に内在するプロポーション
旧体育館平面の縦横⽐は1:1.618 になっており、⻩⾦⽐を利⽤して設計されたと考えられます。⻩⾦⽐は⾃然界にもよく⾒ることのできるプロポーションで、多くの優れた芸術やデザインに利⽤されています。GYMLABOの設計では、この⻩⾦⽐がデザインの重要な軸となっています。GYMLABOのロゴタイプのアルファベットは、それぞれ⻩⾦⽐に基づいて制作したオリジナルのロゴタイプです。横からの形を⾒てみると、外に張り出した構造体により、内部の⼤空間を実現していることがわかります。横から⾒た特徴的な屋根のアーチを、ロゴタイプのデザインに取り込みました。
⼾畑の原⾵景と九⼯⼤の歴史に⾒るマツの象徴性
かつての⼾畑の風景を紐解くと、松林の続く海岸線の⾵景にたどり着きます。海岸線は埋め⽴てられてしまいましたが、現在も九州⼯業⼤学のキャンパスには多くのマツが育っています。九州⼯業⼤学の資料館に保管されている松葉をあしらった⼤学のロゴマークからも、マツが九州⼯業⼤学にとって象徴的なものであることが伺えます。九州⼯業⼤学の原⾵景と歴史からヒントを得て、マツかさと種をモチーフにGYMLABOのロゴマークを制作しました。マツかさは、フィボナッチ数列の配置をもち、⻩⾦⽐との共通性も持っています。マツの種は、マツかさから⾵に乗って⾶んでいくことから、様々なアイデアやイノベーションがこの場所で⽣まれ、⾶び⽴つイメージを重ねました。
ロゴデザインコンセプト(伊東啓太郎)
ロゴデザイン 前崎成一 + 伊東啓太郎